為替相場が円安に向かう理由

豊富な国内資産をもつ生損保

私の為替相場予想は震災後も一切変わっていない。FXでは相変わらず円安トレンドの発生を信じ、ドル円、豪ドル円などクロス円のロングポジションを構築している。その理由は以下のとおりだ。

 

震災のイメージ

 

 

東日本大震災の後、ドル/円相場は3月17日に一時76.25円と史上最安値を更新、円は他の主要通貨に対しても大幅に上昇した。震災以前から煉っていた中東情勢緊迫化を背景とした投資家のリスク回避姿勢からくる円買い圧力に加えて、震災による保険金支払いに充当するため本邦保険会社が保有外貨資産の売却を行うとの思惑が海外投資家の間で高まったことがある。

 

損保対象損失額が推定1.5〜2.5兆円、「甚大被害地域」における生保契約残高が13兆円となっている中で、数兆円規模の円資金需要が意識されたようだ。ただし、生損保会社は現預金5兆円、国内債券185兆円と豊富な国内資産があり、外貨資産46兆円を取り崩す必要性は高いとはみられない、しかも生保会社であれば外貨資産の為替ヘッジ率は高水準で、通常外貨資産を売却しても円買いには結びつかない。

 

財務省の統計でみても、震災後2週間の本邦投資家の対外投資はむしろ1.2兆円の流出超となっている。

 

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対円でのドル高には行き過ぎ感

震災後の円高が極めて投機的色彩が強かったことや急激な円高を受けた本邦株安が世界的な株安に繋がったことが、18日のG7による協調円売り介入に繋がった。

 

介入規模は本邦分か6925億円、米国分は810億円程度とみられ他のG7諸国を合計しても本邦分の倍以内と2010年9月15日の2.1兆円と比べてかなり小さかったとみられるが、アナウンスメント効果に助けられ効果は持続した。円高によって本邦景気を阻害しかねない場合には、単独介入が行われるとの警戒感がドル円の下値を支えている。

 

加えて、複数の地区連銀高官から今後の出口政策に関して夕力派的な発言が相次いだほか、3月の米雇用統計が市場予想よりも良好な内容となったことを受けたドル買い圧力、世界的な株価持ち直しを受けたリスク回避姿勢の後退からくる円売りも相まって、ドル/円は、2010年n月の量的緩和開始後のドル高水準である84円台半ばも一時上抜けした。

 

ただし、当社では米出口政策につき、米連邦公開市場委員会(FOMC)の多数は依然として量的緩和解除に高いハードルを設けており、量的緩和の6月前の早期終了やその後の利上げなどの議論は時期尚早で、予定通り量的緩和は6月まで継続され、当面は連邦準備制度のバランスシート規模は維持されるとみている。

 

通常、ドル/円相場と連動性の高い日米金利差も、3月最終週は米10年債利回りが横ばいだったにもかかわらずドル円は3%超上昇している。4月はFOMCにかけて米出口政策を巡る思惑に左右されやすい展開が続こうが、対円でのドル高には行き過ぎ感がある。

円安見通しを弱め85円へ

当社は基本的に、金融政策正常化の面で日本が他国に対して出遅れ、他国との金利差の拡大見通しを背景に、対ドルや対欧州通貨での円安を予想しており、震災後も大きくは変更していない。

 

中東情勢の不安継続や中国その他アジア諸国の景気減速懸念など、従来からあるリスク要因に加えて、原発問題が引き続き国際投資家のリスク回避傾向を強め、円買い戻しに繋がる可能性は残されている。震災後の国内経済不透明感の強まりが本邦投資家の対外投資意欲に悪影響を及ぼす可能性などを考慮し、対ドルでの円安見通しを若干弱め、1年後予想を従来の90円から85円とした。

 

円安基調が持続する条件としては、世界的なリスク回避傾向が後退し円キャリー取引が活発化するか、本邦の機一関投資家が為替リスクを取るかたちで対外投資を増加させるかが焦点となろう。他方、円売り介入警戒感や日銀追加緩和の可能性が残るため、再度ドル/円か80円を割れるリスクを低下させている。このため目先は80〜85円程度と、従来の80〜83円からは上値が切り上がりつつもレンジ感は強まるだろう。

 

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